年金研究センター

年金運用に関する調査・研究/クォンツ・レポート

年金研究センター
主任研究員 岡村 孝

第2回:Value at Riskによる
ポートフォリオ・リスクマネジメント

 年金資産のリスクを管理する場合、個別資産毎でベンチマークとのトラッキング・エラーを計測したり、デュレーションやβ値を計算することは非常に重要なことですが、ポートフォリオ全体におけるリスク管理とした場合、個別資産毎のリスク管理を積み上げただけでは、資産相互の動き(相関関係)を織り込めない為、市場が大きく変動した時にポートフォリオ全体の収益率がどのような変化を示すのかを捉えることはできません。
 株式や債券、あるいは為替といった異なる性格を持つアセットを統合的にリスク管理する枠組みとして最近よく話題にのぼるものに”Value at Risk”(略称VaR)というものがあります。BISによる銀行の市場リスク規制にVaRの利用が認められたことを契機にVaRに対する注目度が高まり、昨今は年金資産のリスク管理にもVaRの考えを応用しようという動きが出ています。VaRとは
 
一定の期間内に
 
ある一定の確率で
 
ポートフォリオに発生しうる損失率(額)
を表示したものです。
 VaRのアイデアは以下のようなものです。まずリスクの計測期間(例えば1年)とリスクと考える確率(例えば5%)を決めます。次いで各アセットのボラティリティーだけではなく、アセット間の相関関係をも織り込んでポートフォリオの収益率の分布を計算します。

図

 収益率分布を計算した結果、上図のようになったとしましょう。この場合はVaRの考えを用いれば「このポートフォリオは1年後に5%の確率でマイナス10%以上の損失を出す可能性がある。」といった形でポートフォリオのリスク量を表現することができます。
 一般的には株価、金利、為替などに何らかのシナリオをおいて、シナリオ発生時のポートフォリオの損益を計算致しますが、シナリオの置き方にどうしても恣意性が生じてしまいます。VaRは統計をフルに活用する点で客観性のあるリスク管理手法であり、弊社はVaRをアセットアロケーションのリスク管理に利用し、適切なリスク量を常にコントロールしつつ、超過リターンの獲得に努めております

弊社におけるVaRを活用したアセットアロケーションのリスクコントロール
◎統計的・客観的なポートフォリオの市場リスク管理、リスクコントロールを目的としております。
・VaR利用方法−市場におけるリスク構造変化の有無・ポートフォリオの健全性チェックに使用
※その他VaRを補完するものとして
 『回帰分析シミュレーション』−相関リスク、資産変動に対する感応度チェック
 『ストレステスト』    −意図せざる市場変動時の状況把握
 アセットアロケーションにおけるリスク量を管理・コントロールを徹底し、超過リターンの獲得に努めております。


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