| 年金運用に関する調査・研究/クォンツ・レポート | |
|
年金研究センター 主任研究員 奥山 修 |
|
|
第4回:フリーキャッシュフロー割引モデルによる 株価評価 |
|
株式のアクティブ運用において、現在の株価がある一定の基準により求めた株式価値に対して、割安である銘柄に着目する投資スタイルを、通常「バリュー型スタイル」と呼んでいますが、この「企業価値の割安度」を図るツールとして、弊社ではフリーキャッシュフロー割引モデル(「FCFモデル」)を、ファンダメンタル・バリュー型及び事業評価型ファンドにおいて活用しております。 このFCFモデルの基本的な考え方は、「当該企業が営む事業が将来的に生み出すキャッシュフローの割引現在価値の合計が企業価値である」というもので、企業価値評価としては、企業財務(コーポレート・ファイナンス)理論に立脚した手法といえます。株式投資における株価評価指標としては、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)が一般に利用される機会が多いと思いますが、こうした指標は一時点での会計情報に基づく相対的な株価指標であり、企業の将来的な成長性は考慮されません。FCFモデルは企業の将来性をもある程度織込んだ価値評価が可能である点が、PERやPBRといった伝統的な株価指標との最大の違いです。 モデルの構造としてポイントとなる値は、(1)事業資本のキャッシュフローベースの収益性(企業が営む本業に用いる資本とそれが生み出すキャッシュフローから算出)(2)事業資産の成長率、(3)割引率(資本コスト)、です。事業資本のキャッシュフローベースの収益性と事業資産の成長率から、将来のキャッシュフロー流列を算出し、所定の割引率(資本コスト)を使って現在価値を求めたものが事業価値となります。株式価値は、こうして求めた事業価値に金融資産価値を加え、負債価値を控除したものと等価になります。(概念図参照)。 |
|
![]() |
|
営業活動から生まれた税引後のキャッシュフローから設備投資額や増加運転資金を差し引いたものをフリーキャッシュフローと呼びますが、このモデルでも事業資産の成長やその維持に必要な投資額をモデル化し、キャッシュフロー額から控除したものを将来キャッシュフロー流列としており、FCFモデルの名称もここから来ております。 近年、日本においても従来の売上高や会計上の利益重視から、キャッシュフロー重視の経営を掲げる企業が増えており、今後も株式投資において、企業が生み出すキャッシュフローに着目した株価評価は注目されるのではないでしょうか。ここでは紙面の都合であまり触れませんでしたが、資本コストの概念を導入するなど、弊社のモデルは企業経営や企業価値評価におけるグローバルスタンダードを先取りするものであると考えております。 |
|
|年金研究センターTOP|クォンツ・レポートTOP| |