| 年金運用に関する調査・研究/クォンツ・レポート | |
年金研究センター 研究員 矢野 学 | |
第7回:企業業績予想修正(リビジョン)効果 | |
株式投資を行う上で、近年では企業アナリストが個別企業の業績(ファンダメンタルズ)動向について調査・分析しその結果に基づいて銘柄を選択していくボトムアップ手法が増えてきています。弊社でも20名を超えるアナリスト体制を確立し、タイムリーな情報収集・分析活動をプロセスに組み込んだ運用を行っております。こうした企業の業績予想値は決算発表期までの間にその企業の業績に影響を与える情報があった場合に修正が行われますが、この企業業績予想修正のことをリビジョンと呼んでいます(一方決算発表前の予想値と実績値の乖離はサプライズと呼んでいます)。 | |
| 業績予想値を用いた運用戦略では、例えばある企業の業績予想値が上(下)方修正される事によってその銘柄の収益性から見た投資魅力が向上(低下)するためポートフォリオで購入(売却)する、といった投資行動を採ることになります。これは企業業績予想の修正がその銘柄の事後のパフォーマンスに大きな影響を与えている事を想定しています。 | |
| こうしたリビジョン効果に着目した計量的な運用指標としては、業績予想値の変化率(新しい予想値 / 前回予想値)を利用したものや、アナリストの予想値を集計したデータから予想修正したアナリスト数比率((上方修正したアナリスト数−下方修正したアナリスト数) / 予想を発表している全アナリスト数)に注目したもの等様々な指標が考案されており、有効性の検証を経た上で実際の運用に活用されます。 | |
| ではこのリビジョンによる効果は一体どの程度株式のパフォーマンスに影響を及ぼすものなのでしょうか? 下図はこの効果を簡単に計測する為、1995/4〜2000/3までの間に業績予想値が上(下)方修正された銘柄の修正日前後30営業日にわたるパフォーマンスを比較したものです。 | |
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・ユニバース:東京証券取引所第一部上場銘柄 ・業績予想値:東洋経済新報社週次予想データ(連結ベース、当期利益) ・分析期間:1995/4〜2000/3 ・分析方法:分析期間中に業績予想が上(下)方修正が行われた全銘柄の修正予想発表前30営業日から発表後30日までのTOPIX累積超過収益率を算出し平均したもの。左図下目盛りのt+iは予想修正日(t)からの日数(i)を示しています。 |
| ここから、業績が上(下)方修正された銘柄では発表前から徐々に株価が上(下)がり始めるものの予想修正発表後もその効果が引き続き継続している様子(リビジョン効果)が読み取れます。これは市場の効率性という観点で言えば、予想修正という情報は事前にある程度株価に織込まれているが、発表後直ちに情報が織込まれるほど効率的ではない、ということの証左であるとも言えそうです。 |
| この効果は季節性を持っている事や業種・サイズなどの属性による効果の違いがある為、実際の運用ではこれらの影響を考慮する必要があります。また予想修正率のみを指標化した戦略ではポートフォリオの売買回転率が非常に高くなる為、他の株価評価指標や収益性指標と組み合わせて用いる等の工夫が必要になります。 |
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