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年金運用に関する調査・研究/クォンツ・レポート

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主任研究員 藤林 宏*

第11回:投資パフォーマンス基準について

 運用機関は、新たな顧客の獲得を目指して、その投資パフォーマンスの実績を提示することがあります。投資パフォーマンス基準は、このような際に、顧客をミスリードするような事態が発生するのを未然に防ぐ目的で導入されたもので、米国のAIMRが策定したAIMR-PPS(1993年策定)が最初のものです。
 わが国でも、日本証券アナリスト協会が「日本証券アナリスト協会 投資パフォーマンス基準(SAAJ-IPS)」を1999年に策定し、2000年4月以降に運用機関による準拠が可能となっています(1)。弊社でも2000年9月に準拠表明を行いました。
 投資パフォーマンス基準(SAAJ-IPS)の基本原則は、完全な開示(full disclosure)と公正な提示(fair presentation)です。その概念の骨格を形成するのが、コンポジットによるパフォーマンスの提示です。コンポジットとは、類似した投資戦略を持つファンドを集計してデータ開示の基本単位としたものです。運用対象となる投資一任ポートフォリオは必ずいずれかのコンポジットに含めなければならないので、特定のポートフォリオのみを開示するという恣意性を排除することが可能です。また、収益率についても、ポートフォリオの適正な時価評価に基づく時間加重収益率を採用することが規定されています。IPSへの準拠を表明することにより、運用会社の投資パフォーマンス実績の提示が適正であることが顧客に示されることになります。
「日本証券アナリスト協会 投資パフォーマンス基準(SAAJ-IPS)」の骨子

● グローバル投資基準(GIPS)の必須基準をすべて包含
● 収益率は時価に基づいた時間加重収益率によって計算
● 個別ポートフォリオを組み入れたコンポジットによるパフォーマンスの開示
● パフォーマンス記録とともに所定の事項の開示が必要
● 「検証」によって第三者がパフォーマンス測定プロセスの確認を実施
 ただし、投資パフォーマンス基準は法令ではなく任意規定ですので、IPSに準拠するかどうかは各運用会社の判断に委ねられます。しかし、米国や欧州でも主要な運用会社が基準に準拠しており、運用委託の際にも基準準拠が最低限の条件になりつつあることから、準拠する運用機関は今後も増加が見込まれます。
 なお、IPSには「検証」というプロセスが規定されています。これは、運用機関による基準準拠のプロセスを第三者である検証会社が検討・確認するものです。弊社でも、こうした基準の規定に則り、会計監査法人による検証を付した準拠を行っています。
 その後、GIPSを更に発展・改善することによって、究極的には統一的な国際共通基準とすることも視野にいれて、IPC(Investment Performance Council)という国際組織が設置され、現在も検討が継続されています(2)

* 日本証券アナリスト協会 投資パフォーマンス基準(SAAJ-IPS)研究会委員、IPC解釈小委員会委員。なお、文中において意見にかかる部分は筆者の個人的見解です。
(1) SAAJ-IPSに関する詳細な情報は日本証券アナリスト協会のWEBサイト(http://www.saa.or.jp/professional/touship_k.html)をご参照ください。
(2) IPCに関する詳細については、AIMRのWEBサイト(http://www.aimr.org/standards/pps/ipc/index.html)をご参照ください。



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