| 年金運用に関する調査・研究/クォンツ・レポート | |
年金研究センター 主任研究員 奥山 修 | |
第13回:インプライド成長率による株式市場分析 −株価が織込む利益成長性を探る− |
| 株式投資を行う上で、企業の業績や将来成長といったファンダメンタルズと株価を結び付けるものとして、配当割引モデル(株式の本質的価値は将来の全ての受取配当の現在割引価値に等しいとする考え方)などの株価評価モデルが用いられます。通常は、業績予想値や割引率などの入力値を前提として推計した理論株価に対して、現実の株価が割安であるか割高であるかの判断に使用するケースが多いのですが、こうした株価評価モデルを用いたもう一つのアプローチの仕方として、現在の市場で株価がどの程度の利益成長率を織込んでいるのかを計測してみました。 | |
| 下表は昨年12月時点での当社アナリストがカバーする銘柄で行った分析結果です。表の数値は分析結果を集計してユニバース内の平均値を見たものです。@列は、当社アナリストの今期予想値を用いて下記モデルにより算出したインプライド成長率です。A列は当社アナリストによる今来期の利益成長率予想となります。当然、割引率の違いによってインプライド成長率の値は異なりますが、例えば割引率5%とした場合には、市場時価を前提としたインプライド成長率は5.5%と、当社アナリストによる予測値12.6%を下回る結果となっています。 | |
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| 今回ご紹介したのは一時点での分析結果ですが、同様の分析を時系列で比較することにより、モデルにより算出された「市場が織込む成長率」と、「ファンダメンタル・リサーチに基づく成長率予測」との比較に関して、より深い分析が可能となります。足元の市場動向を考えると、好業績・高成長株が大きく調整を余儀なくされており、かなりのバリュエーション調整が進行している状況と言えます。一方、企業業績に関して市場で不透明感が台頭するなか、今回ご紹介したインプライド成長率の評価は、株式投資における本源的なテーマである、『現在の株価は何を織込んでいるのか』といった疑問に対する検証方法の一つとして考えており、弊社では多面的な市場分析の一環として、こうした分析にも取組んでいます。 |
| 《ご参考》 今回実施した分析方法は以下の通りです。 @ 株価評価モデルとしては2段階配当割引モデル(DDM:企業の成長性(つまり配当)をある一定の時点までとそれ以降に分けて考える方法)を使用(下式参照)。 A 今期予想は織込み済みとして当社アナリスト予想を所与とし、6期目以降の成長率をゼロとした上(1)で、株価が内包する来期(2期目)から5期先までのインプライド成長率(年率)を算出。 B 検証で用いた割引率は5%を基準(2)とし、1%刻みで数通り変化させて、各割引率水準でのインプライド成長率を算出。 C 算出されたインプライド成長率と、アナリストによる予想成長率との乖離を分析する。 <2段階配当割引モデル> 上式右辺第1項が5年間に期待される配当の現在価値合計、第2項は6期以降の配当の現在価値合計。株価と今期予想配当額、割引率を所与としてインプライド成長率gを算出する。 |
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(1) この例では6期後以降は成長率ゼロと仮定しているが、モデルとしては様々なパターンを想定することは可能。 (2) 長期金利+株式リスクプレミアム(3%)を想定して5%を基準値とした。適正な割引率の推計は困難であり、今回の分析では割引率を複数設定することによって、割引率の違いによるインプライド成長率の差異を確認する方法をとっている。 |
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