年金研究センター

年金運用に関する調査・研究/クォンツ・レポート

年金研究センター
研究員 袖山 則宏

第14回:浮動株調整によりMSCIインデックスの何が変わったのか?

 株式持合いや、外国人保有規制を考慮した浮動株調整後のMSCIインデックスの組入れ銘柄とその組入れ係数が、5月19日に正式に発表されました。MSCIインデックスは、特に日本の投資家と北米の投資家がグローバル株式投資を行う際のベンチマークとして広く利用しており、その結果、同指数の見直しについては市場への影響も含め、投資家の注目を集めていました。
 まず、日本の投資家が外国株式へ投資する際のベンチマークとなる“MSCI−KOKUSAI”への影響を見てみましょう。国別では、浮動株比率の高い米国・英国が従来のインデックスと比較してウェイトを上げており、その一方で、浮動株比率が低いフランス・ドイツ・イタリアがウェイトを下げています。つまり、今後、外国株式をインデックス運用する日本投資家は、比率が高まった米国・英国を購入し、逆に低下したフランス・ドイツ・イタリアを売却するといったリバランスを行う必要が出てきたわけです。これに対して、北米投資家が外国株式へ投資する際に利用している“MSCI−EAFE”への影響を見ると、英国のウェイトが上昇し、フランス・ドイツ・イタリアに加え日本株のウェイトが低下していることが分かります。ある程度予想された結果ではありますが、MSCIの浮動株調整は、需給面だけを見るならば米国・英国株にプラス要因として、フランス・ドイツ・イタリア・日本株にマイナス要因として働くことになるわけです。ただし、MSCIが来年5月末までの移行期間を設けたこと(現在のインデックスは本年11月、来年5月末の2段階でリバランスされます)、入替銘柄数が比較的少数に抑えられたこと、特に日本に関しては今後持合い解消が進み組入れ係数(発行済株式総数に対して指標に組入れられる割合)が見直される可能性があることで、その影響の程度については市場の動きを十分に見極めていく必要がありそうです。
表1
※Provisional:今回発表に基づく暫定指数、Standard:従来基準による指数
 最後に、個別銘柄に注目した日本株への影響について説明しておきましょう。最も特徴的であったのは、「組入れ比率上昇銘柄、低下銘柄とも“大型株”が中心」であったことです。これには、親子上場のルール(現在のインデックスでは、子会社は組入れられない)の見直しや、組入れ係数が大幅に見直されたことが大きく影響していると考えられます。例えば、組入れ比率上昇の上位にランクされている、NTTドコモやセブン・イレブン・ジャパン、NTTデータは親子上場ルールによりこれまでは除外されていた銘柄であり、一方、組入れ比率低下の上位にランクされている、NTTやトヨタ自動車、みずほホールディングスは組入れ係数がそれぞれ、0.20、0.60、0.55へと大幅に引下げられた銘柄となっています。
表2


年金研究センターTOPクォンツ・レポートTOP


Copyright (c) 2003. The Sumitomo Trust & Banking Co.,Ltd. All rights reserved.