| 年金運用に関する調査・研究/クォンツ・レポート | |
総合運用部 クォンツグループ 菱田 賀夫 | |
第21回:内外株式市場の市場変動と相関 |
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○ 下がる時はどの市場も一緒? | |
| 内外株式市場の低迷が続いている。特に、国際分散投資に期待される効用のひとつとして、自国市場の下落局面でのリスク分散効果があるが、昨今の市場動向はこの効果に対する疑問を呈している。またこれまでの種々の実証分析から、下がる時はどの市場も一緒、つまり内外株式市場間の相関は下落時に高まる、という指摘がされてきており(例えば、Solnik, Boucrelle and Fur(1996)、Zimmermann, Drobets and Oermann(2002))、グローバル投資のリスク分散効果は誇張されている、という議論も出てきている(例えば、Butler and Joaquin(2002))。 | |
| 足元の市場環境は言うに及ばず、長期的な分散投資においても、自国市場の不調を外国株がカバーしてくれることが、投資家にとっての分散効果であることには間違いがない。 | |
| 本稿では、内外株式市場に焦点を絞り、このような傾向が依然存在するのかどうか分析したい。 | |
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○ 市場は果たしてどう動いているか? | |
| グローバルな株価指数であるMSCI指数をベースに、日本及び米国の投資家にとっての内外株という観点を想定して、MSCI・日本株指数、Kokusai(日本除き世界)指数、MSCI・米国株指数、World ex USA(米国除き世界)指数という4指数を分析する(今回の分析では全て配当なしの価格指数を利用し、Kokusai及びWorld ex USAはローカルベースと自国通貨建ての2系列を分析)。なお、前2系列(日本株指数とKokusai指数)が日本から見た内外株、後2系列(米国株指数とWorld ex USA指数)は米国から見た内外株に相当する。 | |
| 図表1、2に、1970年から2002年末まで(MSCI指数で取得可能な全期間)を対象にした月次リターンの分析を示している。 | |
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| 1970年からという比較的長期間のデータをとれば、ローカルベースで見た日本株、米国株、Kokusai、World ex USAの4指数のリスク・リターン特性は意外と似たようなパフォーマンスになっていることが判かる。 |
| また、図表3は、日本及び米国の投資家にとっての内外株という観点で、自国市場のボラティリティと外国株との相関の推移を示しているが、両者には明瞭な正の関係がある。特に米国においては強く、これは、自国市場の与える影響が極めて大きいという事実の証左でもあろう。一方、足元の日本の状況は両者の関係のデカップリングとなっている。 |
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| ○ 局面別のボラティリティと相関 | |
| では、市場局面別に見た関係はどうであろうか。 | |
| 図表4には、市場局面別の月次リターン及びボラティリティが示されている。ここでは、月次リターンの順位から市場局面を均等に3分割し、上位1/3を上昇局面、中位を安定局面、下位を下落局面としている。 | |
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| 日本株、米国株ともに、上昇・下落局面のボラティリティが高く、また、外国株も含め、傾向としてはより下落局面でボラティリティが高くなっている。 |
| さらに、各局面での相関が図表5にあるが、これらからは、日米共に、明らかに下落局面での相関の高まり、が示唆されている(但し、大幅な上下動という一時的な撹乱要因に傾向が引きずられている可能性もある)。 |
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| ○ 再び、下がる時はどの市場も一緒? | |
| これまでの分析から、
という特徴が捉えられた。これらは、言って見れば、下がる時はどの市場も一緒?という論点を肯定しているように見える。 | |
| 但し、これまでの分析は、多くの実証研究と同様、月次リターンの分析であった。つまりは、比較的短期のホライズンでの分析であり、中長期の投資、リスク管理のホライズンと必ずしも整合的であるとは言えないかもしれない。 | |
| そこで、上記データをもとに四半期及び年次データの局面別の相関を計測したが、図表6のように、やはり下落局面での相関の高まりという傾向が見られた。 | |
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| もっとも、過去33年の間には、70〜80年代の世界的な株価上昇基調時のデータが多く含まれており、90年代に入ってからは様相が異なることも事実である(例えば、既述の日本株のボラティリティと外国株の相関の関係)が、図表7のように、年次データを内外株の上下落という極めて単純な4パターンに分類した場合、自国市場の下落を外国株の上昇で(方向感だけではあるが)相殺したパターンはあまり多くはない。 |
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| 特に、米国においては、2000年以降の低迷を除けば極めて良好な市場環境であったと言えるが、内外株式の年次リターンが同方向であったケースが実に85%にもなり、自国市場の下落を外国株でカバーできた事例はわずか2回しかない。 |
| 内外株のアロケーションを意思決定する際には、ショートフォールやVaRといった確率分布から断面的にリスクを把握し制約条件とするアプローチがあるが、下落局面でのボラティリティや相関の高まりという現象が依然存在するのであれば、より慎重にリスクを考える、または資産特性を把握する必要があろう。 |
| また、昨今、株式運用において内外株を一体化したグローバルマンデートが増加、為替オーバーレイのニーズが増加、等のニュースがあるが、これらも、管理の集約という側面と共に、スタイルやプロセスによる分類も含めた資産カテゴライズの再考による新たなリスク管理という観点もあるのではないか、と思われる。 |
| [参考文献] |
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