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[産業界の動き]鉄鋼
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アジア向け輸出拡大により回復する高炉業界 |
| 高炉大手5社(新日本製鐡、川崎製鉄、日本鋼管、住友金属工業、神戸製鋼所)の99年度連結決算は、アジア向け輸出拡大とコストダウンにより、住友金属工業を除く4社が経常黒字の見通しである。 99年度の全国粗鋼生産は、前年度比700万トン増の9,800万トンと急回復した。鉄鋼ダンピング問題により米国向け輸出が減少し、国内出荷も伸び悩んだが、韓国や東南アジアの需要回復により輸出が急拡大した。2000年度は、国内出荷が依然低調でアジア向け輸出も一段落するとみられるが、98年度比400万トン増の9,500万トン程度の需要は確保できる見込みである。輸出拡大を背景に各社の上工程はほぼフル稼働の状態であり、休止高炉の再開や設備増強による増産の動きもある。 価格についてはシームレスパイプなど一部の品種を除いて回復が遅れている。主要製品である鋼板類では、自動車・電機・造船などの大口需要家からの価格引き下げ圧力が強く、販売量の拡大が利益につながっていない。建築用のH形鋼や小型棒鋼などは依然需要が低迷しており、市況は横這いで推移している。 従来の高炉5社体制では、各社が協調し市況維持を図ってきた傾向があるが、今後高炉間の競争が激化する可能性は高い。足許では、輸出戦略の差異により、20年以上も固定されてきた5社の粗鋼生産シェアに変化がでてきている。 需要サイドからの資材調達先の絞り込みの動きも競争に拍車をかけている。日産自動車は調達先を3社に集約し、調達コストを引き下げたが、他の需要家も日産自動車に追随する可能性は高い。 欧州では80年代初めに20社前後あった高炉が、国境を越えた再編で5グループに集約された。日本では新日本製鉄と住友金属工業がH形鋼・シームレスパイプ・ステンレスの3品種でそれぞれ提携を検討、川崎製鉄と日本鋼管は製鉄所間の物流・補修・購買分野での提携に合意するなどの動きもあるが、生産設備の集約や企業統合などまで踏み込んだグループ化には至っていない。 今後業界再編が進む中で優位なポジションを確保するためには、コスト競争力の強化と事業毎の明確な戦略の立案・実践を早急に行うことが不可欠である。提携や統合などスピード感のある経営の舵取りが求められる。 (岩切) |