調査レポート

[産業界の動き]

[小売]急成長する100円ショップ


1.急増する100円ショップ

百貨店やスーパーなど、既存の大型小売業態が苦戦する一方で、専門店やディスカウントストアには好調な業績をあげている企業が多い。なかでも、100円ショップは驚異的な成長を続けている。
チェーン展開をする100円ショップ企業は20社程度あるとみられているが、最大手で業界売上の60〜70%を握るといわれる大創産業は月に40〜50 店もの新規出店を続け、同社の99年度の売上高は1,434億円、店舗数は1,500店にのぼっている。
100円ショップが誕生した当初は、スーパーの催事コーナーや屋外のテントで不定期に営業を行うものや、10坪程度の小規模店がほとんどであったが、不況感が強まりはじめたここ5、6年の間にスーパーのインショップや路面店が急激に増加している。商品の品質についても、当初はプラスチック製の日用雑貨品が中心で「安かろう悪かろう」というイメージも強かった。しかし、近年では陶器・ガラス製食器、乾電池、食料品にまで商品が広がり、大手メーカーと提携して100円ショップ向けにプライベートブランド(PB)商品を提供するケースが増え、品質も向上している。「こんなものが100円で買える」という驚きから衝動買いをする客が多く、客層も主婦層からOL、学生まで広がっている。

2.低コストオペレーションが強み

100円ショップの強みは集客力、プライベートブランド商品の粗利益率の高さ、そして低コストである。
近年商業施設間の競争が激化したため、スーパーや百貨店、ショッピングセンターなどが100円ショップの集客力を生かす目的でテナント誘致するケースが多い。100円ショップは客単価が500〜600円程度と低いため、 来店客が多く混雑している割に売場面積あたりの売上高は少ない。このため家賃負担能力が低く、100円ショップは集客のためのツールと割り切り、賃料水準を下げている商業施設も多いとみられる。
バイイングパワーのある企業は、プライベートブランド商品の大量発注で商品原価を引き下げることによって高い粗利益率を確保している。しかし、一方で品揃えをあえて売れ筋商品に絞らないため在庫水準は高く、商品回転率が低くなる傾向がある。これは、バラエティに富んだ商品を店頭に並べることによって、顧客に商品を探す楽しみを提供することが集客力の源泉となっている面もあるためである。
店舗の運営コストという面では、簡易な店舗設備でのテナント出店が中心であるため出店コストが安い。さらに、すべての商品が100円であるため、折込みチラシなどの広告費をかける必要がなく、店舗における値付け作業も不要である。商品知識も不要でレジ打ち作業も簡単であるため、パートやアルバイトを中心に少人数で店舗運営が可能である。このような低コストオペレーションが100円ショップの利益を支えているといえる。

3.店舗の大型化と今後の課題

品揃えが豊富になるにつれて店舗の大型化が進んでいる。大創産業が2000年4月にオープンした町田店の売場面積は6,600uと総合スーパー並みの規模であり、商品アイテム数は5万品目にものぼる。店舗の大型化に伴い、従来からの「衝動買い」「ついで買い」に加え、購入する商品をあらかじめ決めて来店する「目的買い」の客も増えているとみられる。100円ショップは今やドラッグストアやホームセンターなどと競合する、「家庭用雑貨、文具のカテゴリーキラー」と呼ぶべき業態に変化してきている。
しかし、均一価格という100円ショップ特有の事由から、現状のデフレ経済から回復した後に商品原価や人件費などのコスト上昇によって利益の低下を招く可能性がある。また、コスト引下げのため海外調達が増加する中で、為替の変動による輸入品の商品原価上昇リスクも考えられる。
今後100円ショップが新しい小売業態として確立していくには、継続的に高品質の新商品を投入して顧客を飽きさせない売場作りを進めて集客力を保つとともに、物流、商品管理のシステム化など、店舗の販売効率の向上と低コストオペレーションを維持するための施策が重要となってくるであろう。

(塙)


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