調査レポート

[産業界の動き]

[造船重機]事業の選択と集中を図る造船重機メーカー

1.本格化するリストラ

日本の大手造船会社は1970年代の造船不況を経て建造能力削減と経営の多角化を進め、総合重機メーカーへの変革を遂げた。造船部門の比率は70年代の40〜50%から10〜20%へ大幅に低下している。
近年の造船重機メーカーの業績は、海外プラント工事の赤字などの影響で悪化し、2000年3月期決算では三菱重工業、川崎重工業、石川島播磨重工業の大手3社が連結経常赤字に転落した。各社は海外の赤字案件の処理、不採算事業からの撤退、工場の閉鎖・縮小、人員削減などリストラを本格化し、得意分野への経営資源の集中を図っている。

2.動き出した造船部門の再編

韓国の造船所がここ数年新造船建造能力を拡大してきており、1999年の新造船受注量では韓国が日本を上回った。また、中国は大連造船所でVLCCを初めて受注し、韓国、日本と並ぶ第三の造船大国として台頭してくると予想されている。
今後2010年頃までは新造船需要が低迷すると予想されていることから、韓国に比べて経営規模が小さく、価格競争力の低い日本の造船業界は、現状のままでは厳しい競争の中で生き残るのは困難になりつつある。
このような状況の中で、大手メーカー同士の業務提携が相次いでいる。三井造船と川崎重工業は99年に商船分野で業務提携を結び、既にバルクキャリアを共同受注しているほか、船体ブロックの生産委託など、生産現場での協力にも着手している。2000年9月には石川島播磨重工業を加えた3社による商船部門での事業提携を正式に発表した。三井造船はバルクキャリアなどの量産船のコスト競争力が強く、川崎重工業はLNG船、LPG船をはじめ多様な船型を手掛け、石川島播磨重工は大型コンテナ船に強味を持つなど、3社はそれぞれに得意分野を持つ。99年度の船舶部門の売上高は合計で3,085億円となり、最大手の三菱重工業や韓国の大手造船企業と並ぶ売上規模となる。
一方、日立造船とNKKも造船部門で協力関係を構築することで合意している。また、艦艇部門では住友重機械工業と石川島播磨重工業が折半出資会社に艦艇部門を統合する計画であるほか、三井造船と日立造船も提携関係にある。

図1


3.伸びが期待される環境部門

ボイラー、タービンといった発電機器部門は造船・重機メーカーの大きな収益源となってきた。しかし、今後電力供給の自由化、電源の分散化の動きが加速し、国内の受注は減退する懸念がある。海外市場はアジアの景気回復などで需要回復も見込まれるが、競争は非常に厳しい。
航空・宇宙部門も利益率が高く、今後も利益面での貢献は大きいが、防衛費の削減、ボーイング社向けの引渡し減少など営業環境は必ずしも良いとはいえない。
川崎重工業の二輪車、ロボットなどのコンシューマー・プロダクツ、住友重機械工業の変減速機など、各社はそれぞれの得意分野に経営資源の集中を図っている。
中でもごみ処理装置などの環境機器は今後の伸びが期待されている分野の一つである。2002年12月に都市ごみ焼却炉のダイオキシン規制が強化されるため、自治体向けの大型のストーカー炉や焼却灰を無害化する溶融炉、次世代型ごみ処理装置と呼ばれるガス化溶融炉などの受注が増加する可能性が高い。
ガス化溶融炉はごみを熱分解してガス化した後高温で燃焼させ、灰分を溶融してガラス質のスラグを生成するもので、ダイオキシンの発生が極めて少ないほか、スラグを道路の舗装材などにリサイクルできるなどの利点がある。2000年度の焼却炉の予想発注件数50基(前年度比30%増)のうち、半分程度はガス化溶融炉になると見られている。現在20社あまりのメーカーがガス化溶融炉に参入し、受注実績作りのために激しい競争を繰り広げている。
各メーカーにとっては、ごみ処理施設の建設に加え、既設の炉の修繕事業や処理施設の運営事業から収益を上げることも環境部門の採算向上の重要な要素となる。PFI方式を活用したごみ処理事業に積極的に取組んでいるメーカーもあり、ごみ処理施設の運営受託事業の強化を図る動きが今後活発化するとみられる。

(塙 hanawa@sumitomotrust.co.jp)




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