|
|
|
[産業界の動き]
|
|
[鉄鋼]販売価格の改善に向け再編が進む電炉業界 |
|
1.需給ギャップと市況悪化 普通鋼電炉メーカーは鉄スクラップを主原料に、コンクリートの補強材である小形棒鋼やビル・橋梁の構造材であるH形鋼などの建設向け鋼材を主に生産する。小形棒鋼事業には中小電炉メーカーを中心に約30社が参入しており、販売価格に対する輸送費の比率が高いため関東・関西などの各地域毎に市場が形成される。一方、高炉メーカーの生産が3割を超えるH形鋼事業は、特殊な圧延設備が必要なため、参入電炉メーカーは独立系大手と高炉系の合わせて7社に限られ、販売価格が小形棒鋼に比べ高いため市場は全国に渡る。 90年度以降、建設向けの鋼材需要は低迷し、小型棒鋼の生産量は90年度1,577万トンから99年度1、176万トンまで、H形鋼の生産量も763万トンから539万トンまで減少した。工場跡地の処分が容易でなく、中小電炉メーカー単独での転廃業は進みにくかったことから、生産能力の削減が進まず、業界全体で約3割の需給ギャップを抱えることになった。 電炉メーカー各社は、電気代の安い夜間操業へのシフトや人員削減などを進めてきたものの、各社の合理化努力を販売価格の下落が上回り、長期にわたり業績低迷を余儀なくされてきた。電炉製品は商社や特約店を通じて不特定のユーザーに販売される店売り取引主体のため、販売価格は需給の影響を受けて変動し易い。販売価格から鉄スクラップ価格を控除したトン当りのマージンは、90年のピーク時に、関東地区の小形棒鋼で49,000円程度、H形鋼で54,000円程度だったが、99年12月には小形棒鋼で16,000円程度、H形鋼で21,000円程度まで縮小した。 さらに、小形棒鋼市場ではプライスリーダーとなる企業が存在しなかったため、採算を度外視して増産に走るメーカーが価格競争を激化させた。H形鋼市場では、93年度以降、高炉メーカーが電炉メーカーの台頭を抑えるためにダンピング販売を行ってきたうえ、メーカーが流通業者の赤字を溯って補填する事後調整の商慣習が価格下落を助長させてきた。 |
|
2.高炉メーカー主導の再編 高炉メーカーは系列電炉メーカーを傘下に収め、役員を派遣するなど経営に対する影響力が強い。高炉メーカーは、自社の経営環境が厳しさを増す中、99年以降、不採算品種別の再編を進め、建設向け鋼材の梃入れに本格的に取組むことになった。 新日鐡は、系列電炉メーカーである合同製鐵と大阪製鐵を軸に北海道・関東・関西・九州などの各地域で提携や資本参加による再編を率先して進め、系列電炉メーカーの集約・強化を図った。一方、住友金属工業は系列電炉メーカーとの連携を強化し、川崎製鉄とNKKは系列電炉メーカーの資材購入・物流などの分野で提携を実施した。 特に市況悪化の著しかった関西の小形棒鋼市場では、2000年に入り、生産設備の廃棄を伴う構造改善が急速に進んだ。会社更生法を申請した中山鋼業を合同製鐵と共英製鋼が共同で支援することで合意し、さらに合同製鐵と川崎製鉄系の国光製鋼は自社の設備を休止の上、中山鋼業の最新鋭設備へ生産を集約することになった。この結果、関西地区の需給ギャップは大巾に改善した。 |
|
3.2000年度は業績底打ち 東証一部上場の電炉メーカー5社(東京製鐵、合同製鐵、大阪製鐵、東京鐵鋼、大和工業)の2000年度の業績は、5社合計で売上高が99年度比172億円増の2,908億円、経常利益は同211億円増の142億円と黒字転換し、5社中4社が経常黒字となる見通しである。 業界再編に加え、電炉メーカー各社は協調減産を実施し、高炉メーカーもH形鋼のダンピング販売や流通業者に対する事後調整を廃止した。汐留や品川などの首都圏の大規模再開発事業の工事の本格化を控え、ゼネコンなどの需要家の購買姿勢も徐々に変化し、一部ではメーカー側の販売価格の引き上げを受けいれる動きも出てきた。足許のトン当りのマージンは、小形棒鋼・H形鋼とも最悪期に比べ、2,000〜4,000円程度改善している。 市況をさらに改善させていくためには、引き続き採算性を重視した需要見合いの生産を継続していくことに加え、関西以外の地域でも需給ギャップ解消へ向けた構造改善を早急に進める必要がある。 |
![]() |