調査レポート

[産業界の動き]

家電量販店業界の動向

1.日本の家電品流通市場の動向

 国内の家電販売額は、94年以降増加基調を辿っている。普及率が高く成熟した商品であるテレビ、ビデオや白物家電は、買い替えサイクルの長期化や低価格化で横ばいあるいは漸減の傾向にある。一方、パソコンなど情報家電は普及率がまだ低く、買い替えのサイクルも短いことから大きな伸びを示している。
 「家電ビジネス」誌の調査によれば、99年度の国内の家電品マーケットは8兆6,026億円で、2000年度は8兆7,021億円(対前年比+1.2%)に増加すると予測している。品目別には、デジタル放送が開始されるBS、CS用チューナーやDVDなどの映像機器が伸びるほか、パソコンなどの情報機器が引き続き増加し、環境に関する関心の高まりから生ごみ処理機の需要も増加するとみられている。
 日本の家電品流通の中心はメーカー系列の地域販売店から量販店へと移ってきたが、近年所謂ディスカウントストア型の量販店や、カメラ量販店が勢力を伸ばしている。家電量販店はこれまで地域毎にドミナントを形成して一定の棲み分けを行ってきたが、ここ数年コジマ、ヤマダ電機が全国レベルの店舗展開を開始するなど、量販店間の競争が激化している。

図1


2.法規制による収益環境悪化

 家電量販店は大規模小売店舗法(大店法)の規制のかからない500u以下の店舗を多く出店してきたが、90年代前半以降大型店の出店規制が緩和されたことに加え、パソコンなど取扱商品の品揃えを強化する必要から店舗の大型化を進めている。
 2000年6月の大規模小売店舗立地法(大店立地法) 施行によって、大型店舗の出店審査の基準が経済的規制から社会的規制へと転換した。今後人口密集地への出店が困難になり、駐車場の必要設置台数の増加や店舗の周囲の安全管理、ごみ処理施設などにより出店コストが増加するとみられるため、各社は旧大店法の出店期限である2001年1月を前に駆け込み出店を続けている。大量出店の資金負担に加え、価格競争が一層激化していることから、家電量販店の店舗採算確保が難しくなりつつある。
 また、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の廃家電品4品目の引取り、リサイクルを義務づける「家電リサイクル法」が2001年4月から施行される。家電量販店にとっては、メーカーの設置する引取場所までの搬送にかかる負担のほか、廃棄物管理票の保管など事務負担も増加する。

3.今後の課題

 従来家電量販店の多くはメーカーからのリベートや販売員(ヘルパー)派遣、売れ残った商品の返品、家電メーカーの物流網の活用など、さまざまな営業上の支援を受けてきた。
 今後さらに競争が激化することから、メーカーに依存しない独自のマーチャンダイジング力の強化は家電量販店にとって大きな課題の一つになっている。また、物流面においても、現状メーカーから店舗に直接納入されるメーカー物流が大半であるが、自社物流システムを構築して、オペレーションの効率化と仕入コスト削減に取組む企業も出てきている。
 インターネット普及率が急激に上昇しているのに伴い、インターネット上での家電品の通販市場も急成長している。現状扱い品目としてはパソコンや周辺機器がその大半を占めているが、家電量販店の中にもインターネット通販専用のサイトの開設のほか、ネット上のモールへの出店、ホームページ上に通販コーナーを設けるなど、様々な方法でネット通販に参入する企業が現れている。
 また、高齢化の進展をにらみ、家電量販店においても介護関連事業に参入する動きが出ている。現状は介護ベッドや車椅子などの介護用品の販売やレンタルが中心になっているが、将来的にはヘルパー派遣などのソフトサービスへの参入を検討するなど、企業イメージの向上とともに、高齢化する出店地域の顧客層のグリップ強化を図っている。
 家電量販店間の低価格競争はさらに激化し、白物家電に比べ粗利益率が大幅に低いパソコンの売上比率が年々高まっている。厳しい競争を生き抜くためには、低コストオペレーションを徹底するとともに、BtoCへの取組や、地域に密着した営業の足がかりになる可能性のある介護ビジネスへの業務展開の重要性も今後高まってくる可能性がある。

(塙 hanawa@sumitomotrust.co.jp)




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