調査レポート

[産業界の動き]通信

業態間格差広がる携帯電話・PHS業界

1.携帯電話業界の現況

 携帯電話はセルラーシステムとも呼ばれている。これは携帯電話の電波の伝わる領域が細胞(セル)に似ているところからきており、システム全体をセルラー・システムと呼ぶこともある。
 日本では79年12月に日本電信電話公社が自動車電話サービスとして携帯電話事業を開始した。85年に新たに電気通信事業法、日本電信電話株式会社法等が施行され、通信の自由化が始まり、86年から携帯電話事業等へのNCC(新規第一種電気通信事業者)の参入が始まった。98年12月末現在では携帯電話会社は30社にのぼる。この間、加入台数は一貫して増勢で、98年の1年間で1,025万台増加して、98年12月末には3,900万台となった。
 このうちNTTドコモグループは2,200万台、57%のシェアで、 NCC系5とのシェア格差は広がってきた。
 これは従来NCC各社がNTTドコモの技術に依存してきたため新機種投入が常に遅れ、シェア格差拡大の一因となったことも影響している。
 このため、NCC系では98年7月にNTT方式とは別のCDMA ( 符合分割多元接続 )方式のサービスを開始しており、 今後NTTドコモに対して競争力を高める可能性が出てきた。

2.PHS業界の現況

 PHSは固定電話の電話回線の最後の100メートルは無線になるというアイデアに基づき、日本で誕生し、 93年10月より実用化試験が始まった。94年11月に郵政省が全国11のブロック分け、各ブロックごとの電波割当などのPHS事業化の方針を決定し、95年7月からPHS事業のサービスが開始された。
 PHSの加入台数は98年12月末現在599万台で、ピークの97年9月末700万台に比べて101万台減少している。
 PHS業界では、NTTグループのPHS事業の携帯電話事業への統合や電力会社系PHS事業の地域通信会社への合併など再編が進んでいる。

3.今後の展望

 携帯電話・PHSとも現在は音声通話での利用が中心であるが、携帯電話・PHSの通信速度が速くなりまた送信できるデータ容量が大きくなるため、数年のうちに固定電話のISDN ( Integrated Services Digital Network ) と同じようにデータ通信や銀行振込・航空券予約などの取引、ニュース、交通情報などの生活情報端末としての多様な利用が拡大すると予想される。
 このうち、2001年に商用化される見通しのIMT(International Mobile Telecommunications )−2000方式携帯電話は、現在のISDN通信同等の通信速度とテレビ電話すら可能な利便性を持つことになるものと予想されている。さらに、この方式は世界共通の通信規格を持つため、携帯電話を海外へ持っていってもそのまま電話ができるという汎用性がある。
 郵政省による3つの電波割当にNTTドコモグループや外資も含めたNCC系のグループが参入の名乗りをあげている。
 IMT−2000方式についての設備投資はグループで数千億円と言われており当面活発な設備投資が見込まれる。
 携帯電話業界は技術革新が需要を生み出す好ましいサイクルが期待できる可能性がある。
 一方、PHSについては郵政省が法令の改正等によって事業を後押しする方策をとっている。 また、事業所内コードレス電話システムの販売を開始したり、自治体と提携してPHSを利用した徘徊高齢者の位置探査サービスを始めるなど、加入台数の減少を食い止めようとする努力を行なっている。
 しかしながら、 加入台数の減少に歯止めはかかっておらず、今後PHS事業は地域電話事業や携帯電話事業との統合に活路を見出す方向性が一層強まるものと予想される。

(橋本)

表1 携帯電話・PHSの加入者数の推移



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