調査レポート

[産業界の動き]消費者信用

外資の参入と本格的競争時代の到来

1.日米の消費者信用市場

 わが国の消費者信用市場の規模は約70兆円で、米国と並び世界有数の規模を有するといわれている。
 この内、クレジットカード、信販業務などの販売信用市場の年間取扱高が20兆円強、個人向け無担保ローン業(いわゆるサラ金)やキャッシングなどの消費者金融市場は同約50兆円となっている。
米国では1980年代後半以降、証券・金融市場の自由化の進展を背景に、企業買収・提携の動きが活発化し、GEキャピタルなどのクレジットカード業務や消費者金融業務を取り込んだ大規模な総合金融業者が出現することとなった。
 一方で、モノラインバンクなどと呼ばれるクレジットカード専業や個人向けの消費者金融専業も数多く誕生した。米国の中堅クレジットカード専業事業者などの中には、比較的低所得の顧客層を対象マーケットとして絞り込むなどのセグメントを行い、大手と棲み分けを図ることで成長基盤を固め、店頭市場で株式を公開する企業の数も増加傾向を辿っている。大手と比べて資金調達力が弱い中堅業者は、自社保有のクレジット債権を証券化し、売却することなどで資金調達を行い急速に業容の拡大を進めつつある。

2.外資系企業の参入動向

 近年、わが国の金融市場の自由化及び規制緩和の進展につれて米国の消費者信用業者のわが国市場への参入も目立ち始めた。
 米国の消費者信用業者が、わが国のサラ金市場において国内企業を買収するなどの形で市場シェアの拡大を図り、その結果国内のサラ金市場では、既存の国内大手サラ金と外資系の企業グループとによる寡占化が進みつつある。
 米国の消費者金融の最大手であるアソシエイツ・ファースト・キャピタル・コーポレーションは、その日本法人であるアイクを中核企業として、新たに買収した中堅サラ金のデックファイナンスや日専を合わせてわが国に於ける大手サラ金グループの一角を占めている。
 一方、米国系の大手総合金融業者であるGEキャピタルは、日本で買収したコーエークレジットとレイクなどを合わせて、アソシエイツ・ファースト・キャピタル・コーポレーショングループに次ぐ業容となっている。
 現在わが国のサラ金市場では、相次ぐ企業買収で、アソシエイツ・ファースト・キャピタルグループ、GEキャピタルグループが国内大手4社(武富士、アコム、プロミス、アイフル)に次ぎ5位、6位を占め、これら6企業、グループで6割弱の市場シェアを占めるに至っている。
 多重債務やカード破産によるとみられる破産件数の増加により、98年のわが国の個人の自己破産申し立て件数は10万件を突破した。貸出債権内容の悪化はサラ金の貸倒引当額増加などに繋がり、中堅サラ金を中心に貸出利ざやの縮小及び競争力の低下が生じることが考えられる。今後、競争力が低下したサラ金は、さらなる買収の対象となる可能性がある。

3.課題と展望

 近年、大手サラ金による国際ブランドのクレジットカードとの提携の動きが活発化してきている。
 アコムは98年7月にサラ金としては初めてマスターカードの発行資格を取得し、マスターブランドの付いたクレジットカードを発行している。また、プロミスではクレジットカード最大手であるジェーシービーと提携して、国内外でショッピングやキャッシングが可能なカードを99年6月より発行する計画である。
 わが国に於いては、従来サラ金顧客層とキャッシング顧客層とは重複が比較的少ないといわれてきたものの、今後サラ金とクレジットカードの提携などが進むにつれて、両者の顧客層は徐々に同質化してゆく可能性がある。
 さらに、GEキャピタルグループがクレジットカード業務の一部をクレディセゾンに業務委託し、グループ全体でサラ金と併せてクレジットカード事業にも力を入れる姿勢を示したことで、今後外資系の大手消費者信用業者と国内事業者との競合が激化することは避けられない。
 外資系企業の中には親会社の本国での高い格付を背景に低利の資金調達を図る企業も出現している。今後は資金調達から貸出し、与信リスク管理手法の高度化及び貸出債権の回収に至るまで、内外企業を合わせた本格的な企業間競争の時代に突入することとなり、大手企業といえども国際的な競争の嵐に巻き込まれることが予想される。

(大西)




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