調査レポート

[産業界の動き]リース

リース業界の現状と今後

1.成熟化が進むリース市場

98年度リース取扱高は、前年度比▲7%の7兆3,540億円(リース事業協会速報値)に止まり、2年連続の前年度割れとなった。取扱高の50%を占める情報・事務機器(▲5%)、15%の産業・工作機械(▲16%)、7%の輸送用機器(▲15%)が低迷した。
日本のリース市場は1963年に事業が開始されて以来拡大を続け、91年度のピーク時には8兆8,000億円に達した。特にコンピューターを始めとする情報・事務機器の普及期にあった80年代は、リースが販売金融手段として活発に利用され、設備投資を大きく上回る年率20%超の高成長が続き、設備
投資に対するリース比率が高まった。しかしバブル崩壊以降取扱高の伸びは低迷し、設備投資の伸び率とほぼパラレルに変動している。リース比率を高めることで拡大してきたリース市場であったが、91年度を境に成長期から成熟期に入っている(図1)。

図1 リース取扱高と民間企業設備投資

2.連結決算の拡大を受け再編が進む

97年度リース設備投資額から各社のシェアをみると、オリックス8.2%、住銀リース4.3%、日本リース4.0%の順に高い。リース事業協会員だけで369社を数え、米国市場におけるトップ企業GEキャピタルのシェア20%強と比べると、最大手のオリックスといえども市場占有率は高くない。主要リース会社の大半の親会社である銀行・商社・大手メーカーは、2000年3月(金融機関は99年3月)期から連結決算の拡大によって、グループ全体での資産効率向上が要求され、不良債権処理と資産効率化に迫られている。このような業界構造から、傘下リース会社のリース資産が、グループ外の有力リース会社に買収されていく形で業界再編が進むと予想される。先頃明らかにされたダイヤモンドリースと菱信リースの合併、オリックスによるNEC商品リースの営業資産買収もその流れといえる。今後も自社グループ向けを主体とするようなリース会社が再編の中心になると思われる。

3.リース市場の展望

設備投資に対するリース比率(リース設備投資額÷民間企業設備投資額)が、日本は9%前後、米国は30%台で推移していることから、日本のリース事業にはまだ拡大余地があるとの見方がある。しかし日本のリース比率の分母にはリース対象とならない建物・構築物を含んでいるのに対して、米国は除外されている。建物・構築物を除くと日本のリース比率は94年度に約15%に達し、以降は伸び悩んでいる。国土の広い米国では航空機や大型トレーラーの取扱高が大きく、鉄道車輌も日本のような制度融資がないためリースが多く利用されている。国土が狭く制度融資のある日本では、現状取扱実績が小さい航空機・大型トレーラー・鉄道車輌のリースが増加するとは考えにくいため、それらを除いて米国のリース比率を計算すると20%台前半となり、日米のリース比率はかなり接近する。単純に米国並みにまでリース比率が高まるとの予測にはやや疑問があり、日本のリース比率は限界に近づいていると思われる。
また、過剰な料率競争からの脱却を図るために、リース物件の残価をあらかじめ見積り契約満了時に売却し収益を確保するオペレーティングリースが増えるとの見方がある。残価リスクをリース会社が負うため中古市場の発展が必要不可欠となるが、新品の販売を優先する機器メーカーは、中古機器に対するメンテナンスサービスの提供に消極姿勢を取っている。メンテナンスがおぼつかない機種では中古市場の発展は望めず、メーカー以外からもメンテナンスが受けられる自動車か、メーカーがアフターフォローを行なっている高価な半導体製造装置などに限定されるため、オペレーティングリースの拡大には限界がある。
日本のリース業界ではフルペイアウトで金融的性格の強いファイナンスリースが今後も中心となるとみられるが、大企業向けは料率競争から採算が厳しいため、金利選好度合いが比較的低く利鞘が見込める中小企業向け小口案件が有望視されている。管理のアウトソーシング需要が見込める自動車リースや、クイックリースなどと称した即日決裁による100万円前後の小口案件の取組が注力されている。今後はいかに効率的に中小企業小口マーケットを取組むかが収益力を左右することとなろう。

(山田)




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