調査レポート

[産業界の動き]非鉄

利益率の改善を図るアルミ業界

1.低迷する圧延品需要

 アルミ圧延品は飲料缶や日用雑貨品などに加工される板類とアルミサ ッシ・ドアを初めとする建築資材などに加工される押出類に大別される。 98暦年の圧延品出荷量は、史上最高を記録した前年と比べ9.2%減の232 万トンと5年ぶりにマイナス成長となった。特に押出類は需要の約70% を占める建築資材関連が建設不況の煽りを受け前年比△16.0%と大幅に 減少した。建築資材関連のみならず、食料品関連は飲料缶のペットボト ル化などで△0.8%、エアコンなどの電気機器が△14.7%、日用雑貨品な どの金属製品が△7.6%、自動車減産などから輸送用機械が△7.5%と、 全用途に亘り軒並み前年割れとなった。4半期毎のトン当りの販売単価 の推移をみると、板類は98年1Q 415千円→4Q 406千円、押出類は1 Q 516千円→4Q 493千円とともに低下した。
  需要の大幅な縮小と販売単価の低下という環境悪化の中で、アルミ専 業上場3社(日本軽金属・住友軽金属工業・昭和アルミニウム)の98年度決 算は各社とも最終赤字となった。

2.利益率の高い加工品分野

 圧延品は商品の差別化がむずかしく、出荷量が史上最高を記録した97 年度においても、生産能力が需要を上回る需給ギャップの中で、販売価 格はユーザー主導で決定されてきた傾向が強く、専業上場3社の97年度 の売上高経常利益率(3社平均)は1.5%の水準に止まっていた。アルミ メーカーのコスト削減手段には、人員削減・遊休資産売却による負債圧縮 などの合理化に加え、過剰梱包を含めた過剰品質の簡素化や短縮化が進 む納期条件の緩和などの商慣習の変更も考えられるが、日本のユーザー は高品質・短納期指向が根強いため、商慣習の変更は容易ではない。
  各社は圧延品から利益率の高い加工品開発に注力分野を移している。 パソコン用ハードディスク基板、自動車用熱交換器、複写機用感光ドラ ムなどの加工品は量こそ捌けないものの単価が高いことに加え、独自製 品を開発し販売ルートを確立すると、ユーザーも品質維持を重視して他 社製品への乗り換えが比較的少ないため値下げ圧力を免れ易い。もっと も、硝子製と競合するハードディスク基板は、今までは価格面からアル ミ製が約80%のシェアを占めてきたが、硝子製はアルミ製に比べ記憶容 量の密度が高く、歪みにくいなど衝撃にも強いため、ここにきてノート 型パソコンを中心にシェアを硝子製に蚕食される傾向にある。

3.期待される自動車車体への採用

 自動車メーカーは排ガス規制などの環境対策として車体軽量化の研究 を進めており、アルミはマグネシウムとともに鉄に代る車体材料として 注目を集めている。アルミ業界でも需要の大幅な拡大につながるため期 待が高まっており、既に独アウディ社が米アルコア社との共同開発によ りアルミ合金などを用いて約40%の軽量化に成功、日本企業の中でもパ イプ状のアルミ部材で骨組みを構成するアルミ・スペース・フレーム構造 車の2000年での実用化を目指す動きがみられる。アルミは鉄に比べ比重 が小さいため軽量化に適しており、さらに衝撃吸収力も高いため安全性 の面でも鉄に対する優位性が認められる。 反面、アルミの生産コストは鉄に比べ割高であること、さらに部材価格 の安定性を重視する自動車メーカーが価格変動巾の大きいアルミを構造 部材に採用することに抵抗があることなどの問題点も指摘されている。

4.今後の見通し

 原料採掘・精錬から圧延・加工までを手がける海外アルミメジャーと比 べ、精錬部門を持たない日本のアルミメーカーは価格競争力で劣後する 感は否めないものの、日本のユーザーの高品質・短納期指向が参入障壁と なって、海外アルミメジャーが日本のアルミ市場に直接参入してくる可 能性は小さい。しかし、供給過剰の需給環境は当面続くとみられるため 販売単価の回復は期待しづらく、各社が人員削減などでコスト削減を進 めても、それ以上に市況が下落するという事態も想定される。
  利益率改善に向けた各社毎の合理化策も出尽したと思われる中で、98 年は古河電気工業とスカイアルミニウムの業務提携、日本軽金属と東洋 アルミニウムの合併が相次いで発表された。アルミ業界では不採算事業 部門を売却する動きや本格的なコストダウン・設備廃棄を目的とした業 界再編に活路を見い出す動きが今後さらに進む可能性がある。

(木村)




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