調査レポート

[産業界の動き]通信

データ通信を武器に
さらなる市場拡大を目指す携帯電話業界

1.急拡大する携帯電話市場

 79年に日本電信電話の自動車電話により開始された移動電話サービスは、95年から急激に加入台数を伸ばし、99年末に携帯電話・PHS合計で5,411万台、人口普及率では42.7%に達した。中でも携帯電話は96年末1,817万台、97年末2,875万台、98年末3,900万台、99年末4,848万台と3年連続で1,000万台前後のペースで増加している。
 携帯電話が消費者に急速に浸透したのは、規制緩和により競争原理が導入され、利用料金引下げや軽量化などが進んだからである。85年の電気通信事業法制定以降、第二電電(DDI)、トヨタ自動車、日産自動車、JRグループなどが参入し、NTT移動通信網(NTTドコモ)と合わせ、関東・東海・関西地域では4社、その他の地域では3社が競合する体制となった。95年からはPHSの販売も始まり、価格面・品質面での競争に拍車がかかった。10年前の89年と比べ、加入料金は15万円から1万円以下に、利用料金は月平均で24,000円から8,000円程度に低下し、約700gだった端末は60gを切るまで軽量化された。
 さらに99年2月にNTTドコモが開始した「iモード」サービスは、携帯電話によるインターネット接続や電子メールをはじめ銀行振込・チケット予約などのデータ通信を可能とし、発売から1年足らずで300万台を販売した。今後、音声通信やインターネット接続に加え、音楽ソフトやゲームソフト、カラー動画像配信などが実現すれば、携帯電話は情報端末の中核となり、新たな需要を掘り起こす可能性がある。
 移動体通信の今後の市場予測としては、拡大スピードの鈍化は避けられないものの、携帯電話先進国であるフィンランドでは既に普及率が65%に達していることから、2004年度には8,200万台(年間平均約500万台増、普及率65%)程度まで市場が拡大する可能性がある。

2.次世代携帯電話が招いた業界再編


 NTTドコモは次世代携帯電話IMT-2000(International Mobile Telecommunications)を世界に先駆け、2001年3月に関東地区、2001年秋に東海・関西地区、2002年以降全国で順次販売する計画である。日本テレコムも2001年秋頃、DDIは2003年年以降、販売を開始するとみられる。世界標準規格であるIMT-2000の伝送速度は現行の約200倍に相当し、カラー動画像配信などの大容量データ通信の実用化が進み、世界中で自国の携帯電話が利用できるようになる。
 IMT-2000は郵政省による電波割当が3グループに限られ、各社の設備投資負担も数千億円規模とみられることから、99年に日産自動車が携帯電話事業から撤退、日本テレコムは米AT&Tと英BTとの間で資本提携契約を締結し、約2,200億円の資金を受入れた。DDIもトヨタ自動車系の日本移動通信と携帯電話事業への参入意向の強いKDDとの間で2000年10月での合併に合意した。トヨタ自動車はDDIの第三者割当増資の引受けを予定している。この結果、携帯電話業界はNTTドコモ、京セラ・トヨタ自動車系のDDI、日本テレコムの3グループに集約し、DDIと日本テレコムはNTTドコモ同様全国での販売体制を固めた。

3.今後の展望


 DDIと日本テレコムが、業界最大手のNTTドコモへの対抗軸形成を目的に、今後さらに合併を志向することは、営業面での補完関係が小さく、合併や資本提携により次世代携帯電話向けの投資資金の調達に一応の目処をたてたため、当面は考えにくい。
 3グループによる加入者獲得競争がさらに激化し、加入者1人当りの音声収入は引続き減少していく可能性が高い。NTTドコモの発表によると、加入者1人当りの通話時間(月平均)は、96年度から98年度にかけて158分から164分と増加しているのに対し、加入者1人当りの利用料金(月平均)は12,570円から9,270円へ減少しており、さらに2000年度は8,300円程度への減少を見込んでいる。
 一方、「iモード」による加入1人当りのデータ通信収入は月平均1,300円程度とみられる。DDIと日本テレコムもインターネット接続サービスを開始し、今後各社は、加入者1人当りの音声収入減少をデータ通信収入で補完し、さらに音楽ソフト・ゲームソフト配信や書籍販売などの電子商取引からのマージン収入や広告収入などを取り込み、収入源の多様化を図っていくとみられる。

(岩切)




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