調査レポート

[産業界の動き]海運

再編が進む世界の海運業界

1.世界の海上荷動きの推移

 世界の海上荷動き量は1986年以降毎年3〜7%程度の伸びを示してきた。しかし、98年にはアジア経済危機の影響によってアジア向けの荷動き量が減少し、前年比でマイナスを記録した(図1)。
 定期コンテナ船市場において荷動きの約60%を占めるアジア発着の航路においては、アジア各国の国内経済混乱による輸入の減少に加えて、アジア通貨の下落と好調な欧米経済を背景にした輸出の急増により、アジア発の荷動き量とアジア向けの荷動き量の差(インバランス)が大きく拡大した(図2)。このため、船社のコンテナの回送費用増大のほか、アジアから北米向け貨物の輸送に円滑に対応できない事態が発生するなど船腹需給が逼迫した。
 これを背景に、95年以来大きく下落していた北米航路や欧州航路の運賃が98年、99年と相次いで値上げされ、運賃の水準は95年のレベルにまで回復した。

図1 世界の荷動量の推移

図2 アジア・北米航路のコンテナ荷動き量とインバランスの推移

2.不定期船業界の再編

 世界の主要コンテナ航路では、船舶の運航効率を高めるため、95年以降船舶のスペースを分け合って共同で運航を行う他、コンテナターミナルの共同利用などをグローバルに行うアライアンスが相次いで結成された。
 その後、アライアンスの枠を超えた国際間の大型合併が相次いだことから、アライアンスは再編を余儀なくされ、98年初に商船三井、ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)(シンガポール)に現代商船(韓国)が加わり「ニューワールド・アライアンス(TNWA)」を結成、一方、日本郵船の属する「グランドアライアンス」は、P&Oネドロイド(英) 、ハパクロイド(独)にオリエント・オーバーシーズ・コンテナ・ライン(OOCL)(香港) などを新たにメンバーに加えた。
 99年には世界最大の船社マースク (APモラー)(デンマーク)がそれまでコンソーシアムを組んでいたシーランドを買収した。これにより、同社は世界2位のエバーグリーン(台湾)の約2倍にも及ぶ圧倒的な船腹量を持つこととなり、今後他のアライアンスにとって大きな脅威となるとみられる。

3.地方局再編の実現性

 不定期船業界でも、荷主である石油、鉄鋼、化学、自動車などの業界再編によって顧客数が減り、顧客1社当りのスケールが大きくなった結果、配船の合理化が進み、船社間の競争が激化している。
 このため、大手船社同士が提携、合併を進める動きが活発化している。APモラー、フロントライン(英)をはじめとする欧米の大手タンカー・オペレーター6社は保有するVLCCのプール化を2000年2月から実施した。アフラマックス(10万DWTクラス)タンカーの分野では最大手ティーケーシッピング(カナダ)がボナシップホールディング(ノルウェー)を買収、ケミカルタンカーでも、世界2位のオドフェルASA(ノルウェー)が同4位のシーケム・タンカーズ(モナコ)と事業を統合することを発表した。
 自動車船のウィルヘルムセン(ノルウェー)とワレニウス(スウェーデン)の共同運航会社設立も、世界の自動車業界再編の流れに対応したという側面が強い。
 日本においても、98年10月に日本郵船と昭和海運が、99年4月には商船三井とナビックスラインがそれぞれ合併し、不定期専用船、エネルギー船部門を強化し経営基盤の安定化を図った。

4.今後の動向

 世界の巨大船社同士の合併や統合が今後さらに進むかどうかについては、NOLの業績がAPL(米)の買収後、多大な有利子負債が負担となって悪化していることや、国境を越えた大手海運会社の買収には文化の違い等さまざまな制約も考えられることなどから否定的な見方がある。
 しかし、一方では近年の低船価により世界全体の船腹量がさらに増加し、船社間の競争が激化する中で、P&Oが買収対象を物色中であるなど、生き残りのために規模の経済とコスト削減を求めてさらなる企業の集約化を図る動きもあり、最終的に世界的な大手の船社は5社程度、中堅船社が数社程度にまで集約されると見る意見もある。

(塙)




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